この項目では、がんの放射線治療とその副作用についてできるだけ分かりやすく説明していきます。
「放射線治療」はどうしても原子爆弾の放射能汚染を思い出してしまい、身体に悪いものと思ってしまいがちです。しかし、がんに対する放射線治療は、実際は身体の機能も損なわわず、的確にがんを攻撃できる優れものです。そのなかでも特に乳がんや肺がんに対しては、放射線治療は比較的効果が大きい治療法と言われています。
放射線治療には大きく2種類あります。一つは少し離れたポイントから部位を攻撃する方法(リニアック装置やコバルト遠隔照射装置)、もう一つは部位に近づいて照射する方法(226Ra(ラジウム)や192Ir(イリジウム)などの放射性同位元素)です。
放射線治療は効果が現れるのに1ヶ月以上かかりますが、治癒成績はかなり優れています。
間違えてはいけませんが、放射線治療がすべてのがん(腫瘍)に効果があるわけではありません。人それぞれの適合性がありますし、手術がどうしても必要となってしまう場合もあります。実際には、様々な治療法をがんの種類や進行状況によって選択するのが通常です。しかし、放射線治療を選択することは、手術よりもはるかに確実な場合が散見されます。
なお、現時点では放射線治療は厚生労働省の先進医療という制度に該当し、保険診療の料金に加えて、特別料金を自費で負担して頂くことになります(約70万円〜)。
放射線治療は局所治療として用いられます。すなわち手術と同様、がんとその周辺のみを治療します。
この治療では、がん細胞に高エネルギーのX線をあててがん細胞を縮小化し、消滅させることが目的です。ただし、健康な細胞にもダメージを与えるため、該当部位の照射量は限られます。
放射線治療には副作用が見られる場合があります。急性放射線障害(放射線冶療期間中に発生)と晩発性放射線障害(放射線治療終了後に発生)があります。前者の副作用は一時的なもので、大半の症状は強くはありません。症状が強い時には、薬を飲んだりあるいは吸入することにより改善します。
なおこの副作用は、放射線治療がなされている部位には発生しますが、逆に照射されていない部位には症状はめったに発生しません。晩発性の副作用が生じる可能性は非常に低いです。
ただし子供の場合には放射線専門医から説明を良く聞いてから治療を受けるべきです。その理由としては、晩発性障害として成長障害があり得ます。例えば、放射線治療を受けた骨は、治療を受けていない骨と比べ成長が悪くなってしまう可能性があります。
日本人ならば放射線治療をうけるように言われたら、原子爆弾等の被爆体験から副作用のことを心配してしまうと思います。
以下、放射線治療の注意点を述べます。
(1)放射線治療は局所的な部位にしか効果も副作用もありません。
例えば子宮ガンの治療に適用した場合は頭髪が抜けることはありません。
(2)副作用には2つの発生パターンが存在します。
治療最中の副作用を急性放射線障害と呼びますが、これは治療部位の通常細胞に影響が及んでいるためです。急性放射線障害は治療が終了すれば徐々に正常の状態に戻っていきます。
治療が終わってから長くて10年に渡って生じる副作用がありますが、晩発性放射線障害といいます。これは頻度は少なく現在は放射線を病巣に集中する技術が進化してほとんど見られません。但し同じ部位を治療する場合や特殊な治療をする場合はその可能性が上がります。
(3)周囲のアドバイスに惑わされないでください。
基本的に放射線は治療している部位にのみ影響がありますし、採用手法も様々です。それに応じて副作用もそれぞれ異なってきます。